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2013年に複数のユーザでGPU(Graphics Processing Unit)を共有するvGPUが登場したことで3D CADなどのグラフィック処理をVDIで実現するCAD on VDIが現実のものとなりました。

では、CAD on VDIを導入する場合、どのような監視が必要になるのでしょうか?今までのVDI監視と違いはあるのでしょうか?

本稿ではCAD on VDIのアーキテクチャ概要とVDIシステム監視のためのポイントをご紹介いたします。

おさらい:VDIのメリット・デメリットとは?

まずはおさらいとして、VDIの一般的なメリット・デメリットを確認していきましょう。

メリット

  • データ持ち出しなどのセキュリティ対策
  • ワークスタイル変革、生産性向上
  • 運用コストや電力の節減

デメリット

  • オフライン環境対応
  • 初期投資コスト
  • 専門スキルを持つ人材登用の必要性

このうち、CADユーザにとって最も影響が大きいのは「セキュリティ対策」と「ワークスタイル変革」でしょう。CADが扱う図面は、企業の競争力を生み出す重要機密情報であり、その情報が各クライアントにばらばらに保存されている現状はセキュリティ管理上望ましくないものです。これらの情報を仮想デスクトップやサーバに集約することでセキュリティリスクを低減させることができます。また、図面を見るために、いちいち会社においてあるPCを開かなければならない状態から、シンクライアントなどでどこからでも見られる形になれば、ワークスタイルの柔軟性は大きく向上します。

では、運用監視の側面で気をつけるべきポイントや今までのVDI監視との違いはどこにあるのでしょうか。

まずはCAD on VDIの要であるGPUリソースの3つの共有方式を見てみましょう。

CAD on VDIのアーキテクチャ概要

CAD on VDIには、従来の仮想化技術に加えてGPU仮想化技術が用いられています。

GPU仮想化には現在大きく3タイプあります。

・GPUパススルー

GPUのコアを直接仮想マシンに割り当てる方法。GPUコアを占有できるためにパフォーマンスは高いが、物理GPUの数しか、ユーザをサポートできないという制約がある。

・GPU共有

ハイパーバイザーがソフトウェアベースでGPUを仮想化し、各インスタンスに割り当てる方法。各仮想マシンにはGPUをエミュレートするドライバがインストールされる。GPUパススルーと比べて集約効率は向上するが、パフォーマンスは低下する。また仮想ドライバを使用するためにGPUの性能を最大限生かすこともできないことや、利用アプリケーションが限られているという制約がある。

・GPU仮想化

GPUをハードウェアレベルで論理的に分割する手法。性能はパススルーに比べれば劣るものの、ハイパーバイザーを経由せずにGPUを時分割で共有できるため格段に性能がアップし、かつ、集約効率を大幅に向上できる点が魅力です。また各デスクトップごとにGPUのメモリを割り当てることが可能。

CAD on VDIシステム監視のポイント

VDIを既に運用されている方であれば説明の必要はないと思いますが、VDIの場合、デスクトップがCPUやメモリなどの占有リソースを持たず、複数のユーザでリソースを共有しているため、たった1台のデスクトップの障害が全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。さらに、誰が、何のアプリケーションで、どのくらいリソースを使っているかを把握しづらいため、障害発生時の切り分けが非常に難しい仕組みであると言えます。

これらの課題をクリアしていることを前提として、そのうえで、特にGPUとvGPUの状態に特に目を光らせる必要があります。CAD on VDIはGPUのパフォーマンスが作業の快適さの要だからです。また、GPUのメモリをデスクトップごとに割り当てている場合は、各デスクトップに割り当てたGPUのメモリ使用状況を把握し、適切なサイズに調整していくことも重要なポイントです。

GPUやCPUの状態の監視以外には、ネットワーク監視も重要です。リアルタイム性の高い映像を転送するためのネットワーク帯域とCADユーザの体感品質の低下の原因となるネットワーク遅延やパケットロスも今まで以上に重要な監視項目となります。GPUやCPUでは高速に処理できたとしても、その映像をクライアント側にスムーズに転送できなければ、ユーザは「遅い。重い。画像が乱れる。」と感じるはずです。リアルタイム性が高い映像を転送するためのネットワーク品質も重要なポイントです。WAN回線を経由する場合などは特に注意が必要です。

  • 利用予定のGPUやvGPUの状態を監視可能であるか?
  • GPUのメモリは各デスクトップに適切に割り当てられているか?
  • デスクトップごとのネットワーク遅延やパケットロスを監視できるか?
  • 各利用者の利用アプリケーションとアプリケーションごとのリソース使用状況が把握できるか?

といったポイントをCAD on VDIの監視項目に含めておくと「CADが遅い。重い。」と言われた時に原因を突き止め、改善していく大きな武器になります。CAD on VDIはCAD利用者にとって大きなメリットのある仕組みです。後回しにされがちな監視の体制も整え、生産性の高い職場環境を整えていってください。

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